4.25櫻井よし子氏記者会見「日本国憲法について」

4.25櫻井よし子氏記者会見「日本国憲法について」

本日は自由報道協会にお招き頂き、ありがとうございます。今日、私に与えられたテーマは、憲法です。日本国憲法の改正についてです。主に文化と安全保障の面からお話ししたいと思います。憲法というのはどの国にとっても、その国の価値観の根幹をなすものです。しかし、日本国憲法はそのような形になっておりません。日本が敗戦して占領下にあった時に、アメリカに作られたこの憲法の価値観は、私たちの文化に根ざしたものではありません。

たとえば、去年の3月11日、あの大震災が起きました。被災地の日本人の姿は、本当に多くの人たちに感動を与えました。なぜ感動を与えたかというと、あの大地震・大津波ですべてを失って、愛する家族さえも失った究極の悲劇の中で、被災地の人たちは誰一人として自分勝手な行動をしなかったからです。本当に僅かな食べ物しかなく、寒い中、着る物もの食べ物も無い中で、みんな一生懸命に助けあいました。その姿を見て、日本に普段はあまり友好的でない国のメディアでさえも、「日本人は立派だ」と論評しました。

その姿は私たち日本国民にも、私たちはこういう人だったんだ、ということを見せてくれたと思います。日本人ってなんて素敵な人たちだったのだろうと。こんなに立派なんだということを思い出させてくれたのが、3.11の一つの側面でした。

じゃあ日本国憲法に書かれた、日本の価値観はどのようになっているでしょうか?

たとえば第三章を見てみます。この第三章は二章の続きです。当然のことですが。第二章はあの憲法9条です。第三章は10条から始まります。日本国憲法の中で一番大きな章なのです。

それは日本国憲法で日本国民の権利及び義務を定めた章です。そこを読んでみるとすごく変な気持ちになります。ここに書かれていることってほんとに日本人なのかなって、そう思わざるを得ません。読んでみますと、”あなたにはこういう権利があります、あなたにはこういう自由があります”ということがたくさん書かれています。その権利を行使しなさい、自由を享受しなさいという意味だと思います。でも私たちは大人になれば、権利と自由の裏側には責任と義務が無ければならないと知っています。

でも日本国憲法第三章には、責任と義務はほとんど出てきません。私はそれぞれの言葉がどれくらいの頻度で出てくるか、「お正月」の「正」の字を書きながら調べました。権利が16回出てきます。自由が9回出てきます。責任と義務が3回ずつ出てきます。それぞれの言葉の頻度から見て、どういった価値観が一番重視されているかがよくわかります。権利や自由はもちろん大事ですけれど、そうしたものばかりを主張するのは私たち日本人の価値観ではなかったのです。でもそう書かれてある。震災時に多くの人たちが見せて下さった姿は、憲法第三章に書かれている価値観とは正反対のものでした。東北の被災者の人たち。さっき申し上げましたけれど、自分のことよりも他者のこと家族のこと、とっても思いやりました。一生懸命助けようとしました。

本来ならばそうした価値観が、国の憲法に吹きこまれていなければならないと思います。これが憲法改正が必要な第一の理由です。

 

第二の理由は安全保障です。第二章憲法9条。この憲法9条とそれから前文。この2つを合わせて見て、我が国の今の憲法の下で、日本国を守ることができるのかしら。そう思って読めば読むほど、守ることなんてできないと思います。あの前文には「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」と書かれています。中国や、今、中東で起きている民主化運動を見てみましょう。シリアのアサド政権。国連の調査ですでに9,000人の国民を軍隊が出動し殺したのです。国際社会はこのアサド政権に非難警告決議をしようと、昨年11月と今年2月、安全保障理事会で討議しました。でも出来ませんでした。中国とロシアが拒否権を発動したからです。中国はまた、北朝鮮の金正恩政権を擁護しています。中国は、イランという核開発の意図が明らかな国に対してもそれを守っています。

つまり私が申し上げたいのは、国際社会は、我が国の憲法前文に書かれているように、”平和を愛する祖国”、もしくは”公正と信義”、そうしたものだけで成り立っているわけではない。国際社会ですから、私たちと同じ価値観の国ももちろんあります。一生懸命に平和と民主主義と人権を法律によって国を統治するという意味で、守ろうとする国々はたくさんあります。でもそうでない国もある。

中国、ロシア、北朝鮮、イラン、シリアは典型的な事例です。こうした国々がすぐ近くにいる時に、中国は過去24年間、異常な軍拡を続けて、我が国を安全保障に脅威を与えています。脅威があれば国の責任として、国民と国土を守るのは当たり前です。でも今の憲法ではそれがなかなか出来ません。私は今国土領海のことを言いましたが、今の9条の条文では、コンピュータによるハッキングも守ることは出来ません。

昨年、我が国の衆議院・参議院全員のIDとパスワードが盗まれていたことがわかりました。三菱重工や川崎重工などの日本の軍事産業の中枢もハッキングされていたことがわかりました。でも我が国は専守防衛ですから、こうしたことに対して予防的な攻撃も出来ません。自衛隊はこの予防攻撃に関われません。アメリカだけでなく、ロシアも中国も韓国もマレーシアもシンガポールもみんなこうしたサイバー攻撃に対しては、いわゆる一定以上のものに対しては、戦争行為と見なすとして軍隊が守ります。

つまり、今の日本の憲法ではサイバー攻撃に対しても、我が国を守ることが出来ないということが明らかです。こういう事例から憲法は、私たちが次の世代のためにも責任を持って論議して変えていかないといけない。そういうふうに思って私は今日ここに、憲法改正をみんな一緒に考えましょうと、参りました。

今96条と59条のお話が出ました。私が申し上げたのは概念的なことでありました。けれども現実に、どういうふうにそれを実現していくのですかということになると、96条の改正から始めるのが良いのではないかと思います。96条というのは改正の規定を定めたものです。衆議院と参議院、三分の二の賛成をもって、国民投票にかけて半分以上の賛成を経てようやく改正が出来る。

でも日本の政治史を振り返ってみるとわかるのですが、一つの政党が両院で三分の二をとったことは無い。おそらくこれからもないと思います。となると、三分の二を取れない限りは未来永劫、アメリカ人の作った憲法を我々が使うという非常に変なことが続きます。まずは改正の規定を変えましょう。三分の二の賛成が無ければ変えられないということは、三分の一の反対で阻止出来るわけです。これは民主主義じゃない。民主主義的に憲法改正を可能にするために、三分の二を二分の一、もしくは半分以上というふうに変えるのが良いんじゃないか。まずは96条の一点に絞って改正しましょう。これは96条改正理念として既に出来ています。

一昨年の6月でしたか。超党派で議連が立ち上がりました。自民、民主、その他いろんな政党がここに参加していますね。既に260名の議員の方々が署名をしています。ただ、衆参合わせて約750名弱ですね。96条を変えるのにも三分の二が必要ですからざっと見てあと240名ほど賛成の人たちを増やさないといけない。

私はこれを突破口にしてその後具体的にどこを変えますか?9条からですか?それとも家族のところですか?それとも教育からですか?と逐条的に議論をしていけばいいだろうと思います。

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