米国に貢ぎ続ける安倍政権

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米軍基地、本当に必要なのか?

アショア導入によってアメリカ政府の歓心を買うために官邸、特に和泉補佐官の独断専行であるといわれている。しかも地元に説明せず、海自の導入しているレイセオンのものではなく、全く別のロッキード・マーティンのレーダーの採用決め手の導入を官邸で決めてしまった。当時の小野寺防衛大臣は知らせを聞いて臣室で怒号をあげたというから、防衛省は蚊帳の外だった。

当然ながら首相補佐官にそんな権限はない。ナチスドイツの総統府が思いつきで国防軍にあれこれ高圧的に命じるのと同じだ。軍事的な整合性もなく、アメリカの歓心を買うためだけに非常に高価な装備を自衛隊に押し付けることよって、自衛隊は弱体化するので中国や北朝鮮は大喜びだろう。

アショア導入の問題点は幾つもある。まず、日本の安全保障上の貢献度は小さい。対処できるのは蓋然性が低い北朝鮮からの弾道弾攻撃への対処のみだ。中国の脅威対処等、他の海域の日本の安全保障には役に立たない。

また2か所で約3千億円、下手すると6千億円以上の費用は費用対効果が低すぎる。導入に際してかかるのはアショアのシステムだけではない。レーダーを備えた短距離防御用のミサイルや対空機関砲、ドローン対処のためのジャマー、ゲリラ・コマンドウ対処のための防御陣地なども必要で、一箇所に最低1個中隊は張り付く必要があるだろう。導入予算は大幅に膨らむだろう。

次に問題なのは自衛隊がその存立基盤である国民、住民の支持、信頼を失うことだ。海自イージス艦のレーダーは、電波による影響度が大きいために沿岸から50海里以遠のみ運用可とされている。

レーダーはサイドローブと呼ばれる軸線以外の広範囲への漏洩電波輻射は避けられないため、超高出力のSPYレーダーは近隣に影響を及ぼすことを避けられない。逆にアショアがイージスレーダーを使うことが問題ないならば、イージス艦も停泊地でもイージスレーダーを使用するは可能だ、何のために50海里も離れて使用しているのだ、とういう話になる。

アショア配備予定地の近隣住民の健康懸念は当然だ。筆者はこの件を河野防衛大臣に会見で質したが、大臣の回答は運用に関することは言えないというものだった。

Q:アショアについてお伺いします。アショアはアセスメントで導入が可能ということであれば、例えば海自のイージス艦が現在では50海里外に出てからでしかイージスレーダーの火を入れてないのですが、湾内だとか停泊地内でもこれが使えるということになるのでしょうか。

A:運用についてお答えするのは差し控えます。

だが、それで配備先の地元が納得するだろうか。健康被害や電波障害の問題があるからこそ、イージス艦は外洋でしかレーダーに火をいれないのに、それを内陸に設置するのは人権侵害だと言われたら、防衛省は反論できないはずだ。ろくなアセスメントすらせずに、運用上の秘密だといって答えないのは民主国家のあり方ではない。アショア配備を決定した官邸はまるで独裁国のようだ。

自衛隊、特に陸自の予算的な負担が増して、弱体化が更に進む。アショア導入と運用には巨額な出費であり、陸自の負担が増加する。アショアの導入、運用予算がその他の装備更新・訓練・整備費を喰うようになって更に不足し、任務に支障を来たす。現状ですら装備の稼働率は下がり、ヘリコプターの搭乗員の訓練は以前の年125時間から80時間程度に減らされている。これでは搭乗員や整備員の技量が下がって戦力がダウンする。のみならず事故が発生する可能性も高くなる。

アショアでは設置場所での実弾射撃訓練ができず、迎撃はぶっつけ本番になる。有事に機能するかどうかは分からない。また運用認定試験もハワイの米軍の設備(システム)で実施せざるを得ない。これはハワイの試験用設備(システム)まで日本の負担とされる恐れが大きい。

もう一つの問題はアショアが採用するのは海自のレイセオン社製のイージスレーダーSPY6と全くの別物であり、互換性がないロッキード・マーティン製のSPY7であることだ。このため訓練、兵站は陸海自別となって効率が悪くなり、運用コストも高くなる。SPY7は開発中であり、開発費までかなりの額を日本が負担させられる可能性もある。

当初から官邸はSPY7の採用ありきであり、官邸あるいは和泉首相補佐官とロッキード・マーティン社との癒着が疑われても仕方あるまい。

設置される自治体で副次被害も想定される。アショア自体が敵の優先順位の高い攻撃目標となるので、巡航ミサイルやドローン、ゲリラ・コマンドウの攻撃を受ける可能性がある。その際に迎撃に使用した砲弾やミサイルの流れ弾や撃墜されたミサイルやドローンが近隣の市街地などに落ちて副次被害を起こす可能性が極めて高い。

このようにアショア導入計画はまともな手続きを端折って拙速に官邸が決定した。しかも不利益が多い。違約金を払っても、イージス・アショア計画を廃止すべきだ。

その代わりに海上自衛隊にイージス護衛艦3~4隻を追加すればいい。艦艇は移動可能であり、様々な脅威や事態に柔軟な対処が可能だ。イージス艦は弾道弾対処以外の脅威対処能力も汎用護衛艦より高い。1隻あたり約1,800億円(4隻で約7,200億円)だが費用対効果は高い。先述のようにアショアの導入予算は大きく膨らむことが予想される。寧ろイージス艦の方が安価だろう。

既存のイージス艦と同じSPY6採用すれば、既存の海自教育体系の中でイージスシステム関係者の教育が可能である。これによって運用コストはアショアに比べて大きく低減できる。

イージス艦での弾道弾防衛作戦時に基本、護衛用の艦艇(汎用護衛艦)は不要だ。イージス艦のレーダーは宇宙を監視・SM-3の誘導をしながらも、周囲を警戒でき、その能力は汎用護衛艦のレーダーよりも強力である。汎用護衛艦建造の予算確保のために、方便として財務省向けに弾道弾防衛用のイージス艦の周囲を守る必要があると強弁したことが誤解を招き、一人歩きしている。これはイージス艦の関係者なら誰でも知っている事実だ。

またイージス艦の方が対潜水艦戦能力も汎用護衛艦より高い。対潜水艦用ソーナー(SQQ-89)、電子戦システム(NOLQ-2シリーズ)、FIC区画(海自洋上インテリジェンスシステム)、米軍情報システム端末など、弾道弾防衛以外においても、汎用護衛艦が装備するものよりも能力が数段優れたものを装備している。イージス艦を多数運用している米海軍には汎用駆逐艦(DD)は存在しない。

イージス艦を増やす代わりに海自の旧式護衛艦の除籍促進・能力の低い艦艇の建造を中止すべきだ。海自は防衛大綱に定められた隻数を維持するために現代戦を戦えない旧式艦を多数抱えている。きり級護衛艦以前の旧式艦18隻をすべて短期間に除籍する。こうすれば維持経費の削減、人的資源の確保、有効活用が可能となる。

更に調達が開始されて1、2番艦が既に発注されている能力の低い新型フリゲート艦(FFM)、これまた調達が予定されている海保の巡視船と大差ない哨戒艦建造を中止しすべきだ。FFMは能力を向上させて予定調達数の30隻を10~15隻に減らすという選択もあるだろう。

その代わりに滞空型無人機を導入し、海自の警戒監視任務負担軽減と能力向上をおこなう。既に導入されているグローバルホークは、海上監視能力が皆無に近い艦艇隻数減に対する警戒監視任務の負担軽減と能力向上のため、MEAL(Medium Altitude Long Endurance:中高度長時間滞空)型で、滞空時間24時間以上の無人機を5機~6機導入すれば十分だろう。洋上警戒監視任務は一義的に無人機の任務とすればいい。

その方が艦艇を使用するより監視エリアが拡大可能でかつ遠距離から昼夜の監視(光学・電波・レーダー・AIS)も可能となる。対して艦艇では近接しないと確認できない。監視、警戒では無無人機の方が遥かに効率的だ。また、近接による無用なトラブルを避けられ、更には海自航空部隊の労力の軽減にもつながる。

非武装の滞空型無人機(洋上監視用)は米国ジェネラル・アトミック社のガーディアン、イスラエルIAI社のマリタイムヘロン、同国エルビット社のヘルメス900等があり、衛星通信を通じてリアルタイムで情報取得が可能である。また武装型の無人機も多数存在する。運用構想によっては武装型を採用することも検討すべきだ。

この代案ならば対米関係をより良好にもできるだろう。アショアは2セット分のみだが、新たにイージス艦を3~4隻建造するなら、米国企業は1.5~2倍の売上を期待できる。また米国はイージス艦のサブシステムなども輸出できる。米国企業の利益が大きければ米国政府は賛成するだろう。だからアメリカのご機嫌を損ねることはない。

また移動可能なイージス艦は、台湾有事や他の様々な脅威に対して機動的に米海軍と連携し、米国のアジア戦略に寄与することができる。つまり運用の柔軟性が高い。

そして配備予定地での無用な摩擦も避けられて、自衛隊全体としてはMDの調達運用コストも低減できる。いまのままアショアの導入を強行すれば、地元の反発を受けるだけでなく、有事の実用性も怪しいアショア導入によって自衛隊のミサイル防衛力を低下させ、更に無駄なアショアに無駄な予算を取られて自衛隊の戦力が低下するだけに終わるだろう。

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