中東情勢の真実 2018

中東情勢の真実 2018

中東情勢の真実 2018

パネリスト:  加瀬英明(外交評論家)  髙山正之(コラムニスト)  浜田和幸(国際政治経済学者・前参議院議員)  藤和彦(経済産業研究所上席研究員)  馬渕睦夫(元駐ウクライナ兼モルドバ大使)  宮崎正弘(作家・評論家)  吉川圭一(グローバル・イッシューズ総合研究所代表)

 

中東でいろいろと動きが出ているようだけど、あまり身近な地域ではないこともあり、よくわからないわ。今の中東情勢は一体、どうなっているのかな。そもそも、混乱の原因は何なのか。

藤 和彦 2018.06.22(金)

日本は原油の8割以上、LNGの3割を中東から輸入しています。この地域の混乱は、原油やLNGを安定的に輸入できるかというエネルギー安全保障にかかわってきます。カタールからはLNGに加え、半導体の生産などに使われる工業用のヘリウムガスを輸入してます。LNGは今のところ滞っていませんが、ヘリウムは断交のため輸送ルートの変更を余儀なくされ、価格が上昇している。サウジアラビアとロシアは既に増産態勢に入っているようだ。サウジアラビアの5月の原油生産量は前月比16万バレル増の日量1003万バレルとなり、ロシアの6月の生産量は日量1110万バレルになる(協調減産合意は同1095万バレル)

イランと同様、米国による制裁による原油生産の影響を緩和したいベネズエラや、復興資金の確保に苦しむイラクも、より高い原油価格を求めて反対の意向を表明した。その後、OPEC総会の成功に尽力する事務局が「今後数カ月、日量30万~60万バレル増産するという妥協案を協議している」との報道が流れている。


アラブ連合軍は軍用機と沖合に停泊する軍艦から複数の拠点を攻撃したが、フーシ派が沿岸部に機雷を設置していため、ホデイダ奪還のためには掃海艇の運用が不可欠であった。サウジアラビアは、米国内のガソリン価格を下げるために原油の増産要請に応じることで、米軍の支援を当てにしていた。しかし、「空振り」に終わってしまった。

サウジアラビアはイエメンへの軍事介入で既に1200億ドルを支出したとされている。ムハンマド皇太子が頼みとする外国からの直接投資額は2016年の75億ドルから昨年は14億ドルに減少した。昨年11月の反汚職キャンペーンの悪影響が続いており、国内の投資マインドも冷え切ったままである(6月15日付ブルームバーグ)。昨年マイナス成長となった国内経済は、一向に回復する兆しを見せていない。

泥沼化するイエメン情勢に加え、国内経済の悪化により、「ムハンマド皇太子に対する国民の熱烈な支持が失われ、サウジの政治体制に激震が走る」日は遠くないかもしれない。そうなれば原油相場は未曾有の地政学リスクに見舞われることになる。

米朝首脳会談の「成功」で本性を現したトランプ大統領の「米国第一」政策が、原油市場に今後どのような影響を与えるか、予断を排して注視していくことが肝要である

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