日本政府は韓国になめられっぱなし

日本政府は韓国になめられっぱなし

韓国元徴用工判決で差し押さえ決定

 

【ソウル=名村隆寛】韓国最高裁が新日鉄住金に対し、いわゆる徴用工として労働を強制されたと主張する韓国人男性らへの損害賠償を命じた判決をめぐり、韓国南東部の大邱(テグ)地裁浦項(ポハン)支部は原告による同社の韓国内資産の差し押さえ申請を認める決定をしたことを明らかにした。

原告団は昨年12月31日に差し押さえ申請をし、今月3日に申請が認められた。対象は新日鉄住金が韓国内で保有する韓国鉄鋼最大手「ポスコ」との合弁会社「PNR」の株式約8万1千株で原告4人のうち2人分の損害賠償額(約2千万円)に相当するという。原告団は新日鉄住金が保有するPNR株を約234万株とみており、約11億円に相当する。

 

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差し押さえの効力はPNRに書類が届いた時点で発生し、新日鉄住金は株式売買や譲渡の権利を失う。ただ、同社は決定への異議申し立てができる。

裁判所が命じれば、差し押さえた株式の賠償金としての現金化は可能だが、原告側は協議での円満解決を望んでおり、売却命令は求めていない。しかし、「新日鉄住金が協議に応じない場合、売却命令を申請せざるを得ない」とも警告している。

韓国最高裁は昨年10月30日、同社に対し原告4人に計4億ウォンの賠償を命じる確定判決を言い渡した。韓国人の請求権問題は1965年の日韓請求権協定で解決済みで、日本政府は最高裁判決を受け入れない立場だ。韓国政府に適切な措置を求めているが、韓国政府は対応策を検討中だ。

日本政府は差し押さえが強行された場合の対抗措置の準備に着手しており、韓国側と請求権協定に基づく協議を要請することも検討している。韓国司法の差し押さえ手続き入りで日韓関係の一層の悪化は必至だ。

 

 

「誠に遺憾」「冷静に対応」「適切な説明」「毅然とした対応」……近隣国とのトラブルが起きるたびに、政府や政治家からはこうした言葉が繰り返される。直近で言えば、レーダー照射事件や徴用工問題に関連してのコメントがそれにあたるだろう。

「韓国側の責任を日本側に転嫁しようというものであり、極めて遺憾だ」

「差し押さえの動きは極めて遺憾」

「日韓関係は非常に厳しい状況にありますが、わが国の一貫した立場に基づき、韓国側に適切な対応を求めていきたい」

「このような事案(レーダー照射)が発生したことは極めて遺憾であります。引き続き韓国側に再発防止を強く求める」

改めて年末年始にかけて菅官房長官の談話を並べてみても、いつも通りのテイストで一貫しているように見えるだろう。官房長官に限った話ではなく、これは日本政府の通常の姿勢である。首相も外相も大差ない。

逆ギレ的な振る舞いを続ける隣国に対して、日本は一貫して「大人の対応」をしている、と言えば聞こえは良い。しかし、こうした対応に対して国民の間にはフラストレーションが溜まってきているようにも見える。ネットの関連記事のコメント欄には、「もっとハッキリとモノを言え」という比較的マイルドなものから「国交断絶だ」「実力行使だ」といった過激なものまで、さまざまな批判的意見が多く寄せられている。

こうしたフラストレーションの背景にあるのは、こんな気持ちだろう。

「これまでも常に日本は、冷静で常識的な対応をしてきた。きちんと振る舞えば、相手も、国際社会も理解してくれるはずだ――と。しかし、実際には何度説明しようが、相手は変わらない。これではなめられっぱなしではないか」

実のところ、断交や実力行使などがすぐに採れる解決策ではないことは多くの日本人が理解している。しかし一方でフラストレーションが解消されないのは、政治家たちのコメントに、国民の気持ちに訴えるところがない点かもしれない。 言っていることは正しくても、血が通っていない。

これでは国民の気持ちは掴めない。ましてや外国にアピールできるはずがない。それでは相手に圧倒されてしまうのも無理はない。

 

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ベストセラー『国家の品格』の著者で数学者の藤原正彦氏は、新著『国家と教養』の中で、知識だけを詰め込んだ「頭でっかち」では、国を率いるリーダーとしては不適格だ、と指摘している。知識に「日本人としての情緒や形」が加わってこそ、意味がある、しかし日本の官僚や政治家などには、それを身に付けている人が少ない、というのだ。

日本が諸外国に圧倒されることが多い根本の原因を辿っていくと、ここにある、というのが藤原氏の主張である(以下、引用は『国家と教養』より)。

「日本人としての情緒や形を持たない人間は、舶来の形にあっと言う間に圧倒されてしまいます。大正時代以降の教養層は、大正デモクラシーに圧倒され、次いでマルクス主義に圧倒され、ナチズムに圧倒され、戦後はGHQに圧倒され、今ではグローバリズムに圧倒されています」

こうした「日本の知識人のひ弱さ」は、日本人としての情緒や形を軽侮したことに原因があるのではないか、情緒や形も含んだ真の教養こそが、国を守ることにつながるのだ、と藤原氏は指摘したうえで、興味深い逸話を紹介している。

「江戸末期、江戸に来たイギリス人達は、普通の庶民が本を立ち読みしている姿を見て、『この国は植民地にはできない』と早々と諦めました。『自国を統治できない無能な民のために我々白人が代わって統治してあげる』というのが植民地主義の論理でしたが、庶民が立ち読みする光景は本国にもないものだったからです。読書は国防ともなるものです」

先人たちは、その日常の姿を見せることで、外敵を退けた。

現代の政治家たちの官僚答弁にはそうした効果は期待できない。情緒のみで判断する政府は問題としても、国民の気持ちを掴めない政府にもまた別の問題があるのではないか。

デイリー新潮編集部

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