政府は東京一極集中は止められない

政府は東京一極集中は止められない

三橋TV第50回【東京一極集中解決の2つの鍵】

 

 

東京圏1都3県の人口転出入を、2020年までに均衡させる政府目標の達成が危険水域に突入した。
地方での雇用創出効果が見えないまま、転入超過が拡大し、東京一極集中が加速しているからだ。一時、話題になった企業の本社機能移転も、東京圏に移す企業が過去最多となっている。政府は東京圏の大学生向けインターンシップ(就業体験)を実施する地方企業を倍増させるとともに、東京23区内で大学や学部の新増設を抑制する仕組みについて検討することを決めた。しかし、明治大政治経済学部の加藤久和教授(人口経済学)は「2020年までに一極集中の流れを止めるのは難しい」とみている。
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3大都市圏を見ても、大阪圏(大阪府、京都府、兵庫県、奈良県)は9,354人、名古屋圏(愛知県、三重県、岐阜県)は1,090人の転出超過。ともに東京圏への人口流出が増えたのが響いた。 
 山間部などの過疎地域では、65歳以上の高齢者が過半数を占める限界集落が珍しくない。自治体総人口の半数以上を高齢者が占める限界自治体も増え、地域消滅に向けた足音が次第に高まりつつある。

政府は東京一極集中を是正し、地方を元気にするため、2014年度から専任の担当大臣を置くなど地方創生を看板に掲げてきた。その中で打ち出されたのが、2020年までに東京圏の人口転出入を均衡させるという大目標だ。

政府はそのための方策として、地方に10万人の雇用をつくり、地方から東京圏への転入者を6万人減らす一方、東京圏から地方への転出者を4万人増やすとした。地域活性化や雇用創出を目指して投じられた予算は4兆6,000億円以上。「まるで地方創生バブル」とやゆされるほどの資金が投入されてきた。

それと同時に、政府機関の地方分散を図るとともに、民間企業の本社機能地方移転を目指し、優遇税制の導入を目玉事業として打ち上げた。政府と大企業が率先して地方に移り、地方回帰のムードを醸成しようとしたわけだ。

しかし、中央省庁で地方への全面移転を決めたのは京都府へ移る文化庁だけ。地方移転の模範を示すはずの政府の思惑は、東京を離れたくない官僚の激しい抵抗を受け、掛け声倒れに終わった。

民間企業の本社機能移転も一部にとどまり、むしろ東京圏へ本社機能を移す企業が増えている。民間信用調査機関・帝国データバンクの調査では、2015年に東京圏へ本社機能を移した企業は前年比13%増の335件。集計可能な1981年以降で最多となった。逆に東京圏から地方へ移った企業は前年比14%減の231件にとどまっている。

 

 

三橋TV第51回

 

 

 

首都の東京都への転入超過数(転入者から転出者を引いた数)をみると、1950年代後半から60年代前半にかけては、大幅なプラスになっている。高度経済成長の時代で、地方から若年労働力が大量に流入したためだ(集団就職)。しかし60年代後半になり、公害の発生など成長に陰りが見え始めると、値はマイナスに転じる。住みにくい都市から郊外に人が動いたことによる。

90年代半ばまでこの状態が続くが、それ以降、東京の転入超過数は再びプラスに転じ現在に至る。ここ数年は増加傾向で、2017年ではプラス7万5498人だ。これをもって、東京志向は強まっていると言われる。

 

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