巨大国中国の脅威…!?〜軍事を蔑ろにしてきた我が国日本

巨大国中国の脅威…!?〜軍事を蔑ろにしてきた我が国日本

大国中国を隣国に構える日本、中国やその周辺国の過去の動向を振り返り、近い未来がどうなるのか、今後、日本は勿論アメリカはどう動くのか考えさせられる

 

中国脅威論は今に始まったわけではない。1989年の「冷戦後」、西側世界はソ連という敵を失い、台頭する中国を新たな「敵」とする言説が出る。しかし米一極支配が揺らいだわけではない。2001年の「9・11」でアメリカは「対テロ戦争」を優先し、中国も協力したことで、欧米では脅威論は鳴りを潜めた。

いま再燃しているのは「ポスト冷戦後」の脅威論である。トランプ政権がTPPや「パリ協定」を離脱し内向きに転じ、中国がそれに代わって自由貿易や国際協調の旗を振る。政治も経済も、米一国では決められない時代。一極支配は瓦解した。

中国は、「一帯一路」(習近平総書記が提唱した経済圏構想)で、経済活動を国内市場から地球規模に拡大した。経済の実力が伴うと、「脅威」のリアリティーが高まる。脅威論の最大の背景は「大国のパワーシフト」(大国間の重心移動)である。秩序交代期には、旧秩序側が新秩序を叩こうとする力が働くのは避けられない。「通過儀礼」とも言える。

新脅威論のもうひとつの特徴は、中国の一人勝ちを警戒する「経済脅威論」。この20年、日米中三国の経済力は大きく変化した。日本の国内総生産(GDP)は1994年に、世界のGDPの18%を占めたが、今や5%台に低下。一方の中国は、同時期の3%台から2015年には15%と完全に日本を逆転した。一方、1984年に35%台だったアメリカのシェアは24%に低下した。中国経済の実力を裏付けるデータである。

脅威論の具体的な事例

日本を代表する経済紙は、米国依存だったアジアの経済構造が変化し、2030年ごろにはアジア経済の「中国化」が加速するという分析記事を掲載した。記事は「中国の東南アジアや日本への経済波及効果は(2030年に)2015年の1.8倍になり、米国より4割も大きくなる」との専門家試算を引用し、中国化が加速すると予測した。的確な分析だと思う。

ミャンマーのロヒンギャ問題を挙げながら「中国の求心力が強まる一方で、米国の民主主義を促す力が低下する恐れが強い」と書き、「アジアの市場経済化や民主化の流れが滞る懸念」とする部分はうなずけない。特に「かつては米国の突出した経済力がアジアの民主化を促す原動力だった」という見立ては、陳腐である。

経済発展と民主化の関係はある。米同盟国で独裁下にあった韓国、台湾、フィリピンは1980年代に次々と民主化した。経済発展が中産階級を産みだし、それが民主化を要求する内在的要因になった。

さらに、米中和解(1972年)やベトナム戦争終結によって、経済建設を優先できる外在要因が後押しする。アメリカは独裁政権を支える政治的動機が薄くなったから見放したのであって、「米国の突出した経済力がアジアの民主化を促す原動力」だったからではない。

つまりアジアにおけるアメリカの経済力の影響低下をことさら誇張しているようにも見えるのだ。

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